大学院工学研究科機械工学専攻2年次生の高橋貴志さん(指導教員=工学部機械工学科・窪田紘明講師)がこのほど、日本塑性加工学会の優秀論文講演奨励賞を受賞しました。塑性加工に関する研究者が集う同学会では毎年、春季講演会と連合講演会を開いており、若手会員の積極的な参加と講演会の活性化を目的に優秀論文講演奨励賞を設けています。高橋さんは今年6月9日から11日まで開かれた春季講演会で「水溶性繊維をマンドレルとして薄肉・極細径管の引抜き加工」をテーマに発表した成果が評価されました。
高橋さんは、工学部精密工学科(現・機械工学科)在籍時から吉田一也現客員教授の研究室に所属し、無痛針など医療用に使われる極細管の加工技術研究に取り組んできました。今回の発表では、従来の製造方法で問題となっていた引抜き加工時の偏肉や内面荒れなどを解決するため、吉田客員教授らが考案した加工金属内に水溶性繊維をマンドレル(心棒)として用いる加工法について検証した成果を報告。加工する金属内への封じ込めが容易で、お湯で除去ができる繊維を用いることの有効性をはじめ、内部に何も詰めない空引きとの比較、肉厚や管内部の状態の安定といった利点を、シミュレーションの結果も含めて明らかにしました。
「東海大学山形高校在籍時から“将来は医療技術の進化に役立つ研究がしたい”と考えていたこともあり、精密工学科では医療機器に用いられる材料の加工法や機械に携われる吉田先生の研究室の門をたたきました。大学院進学後は窪田研究室に所属して研究を継続しつつ、専任教員として定年を迎えられ、客員教授になられた吉田先生のサポートも受けてきました。今回の受賞は吉田研究室最後の学生として先生に恩返しができ、とてもうれしく感じています」と高橋さん。吉田客員教授は、「高橋さんは昨年度も同様のテーマで発表しましたが受賞には至りませんでしたが、今回は実験結果にシミュレーションの結果と論理的考察を加えて研究成果をまとめた点が評価されました。日々の大学院生として研究に取り組む姿勢は素晴らしく、人間的にも成長してくれました。社会に出ても活躍してくれることと期待しています」と話しています。
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