University Insightでは大学内の一研究者の視点から,大学をもっと良くするためにはどうすれば良いかを考えていきます.
本記事では自動車の軽量化技術開発の考え方を,大学での施策の選択に応用していくことを考えていきます.
自動車の軽量化の実務を行っていたころ,「Jカーブ図[1]」なるものを使って採用アイテムを整理して,どのアイテムまで採用するかという判断をしていました.Jカーブ図は縦軸にコスト(上にいくほど高コスト),横軸に軽量化効果(右に行くほど軽量)を取って各軽量化アイテムの性質をベクトルで表現して,それを積み上げていく図です.当然,低コストで軽量化効果が大きい,即ちベクトルが第4象限(右下)に向くアイテムから採用していくことになります.これがボデー骨格のハイテン化,構造の合理化などの軽量化アイテムです.軽量化効果が得られ,さらにコストも下がるのですからやらない手はありません.次に第1象限(右上)を向くアイテムを採用していきますが,アルミや樹脂複合材料を採用するなどのマルチマテリアル化がこの部類に入ります.軽くなるけれどコストも上がるというアイテムです.ここまでの表現でアイテムごとの特徴を視覚的に表すことができます.
つぎに車種毎にどこまでのアイテムを採用するかを考えていきます.右の図のように右下を向いたベクトルから右上を向いたベクトルまで順に連結していきましょう.このカーブの形がアルファベットのJになります.大衆車向けにはベクトルが右下を向いているアイテムから順に採用していき,高級車向けには右上を向くアイテムまで採用します.1台あたりの軽量化コストをどれだけかけて良いかは設定した販売価格などから決まってきますので,この図を用いれば自ずと車種に対応した採用アイテムが決まってきます.もちろん調達性などここには現れない要素も最終的には加味します.分かりやすく誰もが納得のいきやすい整理方法です.
ところで,大学における施策はどうでしょうか?効果やコストを見積もることで,大学の価値を最大化するように施策の選択をする方法はないでしょうか?ここでは,Jカーブ図を大学に適用した場合を考えていきたいと思います.横軸は大学が社会に提供できるアウトプット[2],即ち研究と教育,縦軸はコストです.(続く⇒大学の力を最大化する施策の選び方2【University Insight】,まとめ記事)
参考資料
[1]板倉浩二:1自動車を取り巻く環境と車体の軽量化,第 280 回塑性加工シンポジウムテキスト,(2010),1-7.
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